探偵社の調査技術について

探偵社の調査技術について

探偵社が保有する調査技術には、調査機材に付随するものと調査実績で培われたノウハウに分類されます。本来の調査技術は後者の方を指すと思いますが、調査員の資質(向上心、応用力や機転など)に大きく依存します。調査項目には、浮気調査、素行調査、行方調査、ストーカー対策や盗聴器発見調査など多岐多様にわたっており、その手法も経験値も探偵社によってまちまちです。大手探偵社と個人経営では技術レベルに大きな差があります。個人経営で調査依頼が少ない場合、経験で得られるノウハウが少なくなってきます。その為、日頃から訓練を行い技術レベルの維持・向上に努めています。また、兵庫県探偵業協会では、毎年研修会を開催し調査に関する情報の共有により技術の底上げを図っています。

(1)調査の基本と進化

調査の基本は尾行・張込み及び証拠映像の収集につきますが、ストーカー対策や嫌がらせ・セクハラ対策などは証拠の収集のみならずその後の安全対策を考える必要があります。盗聴器発見調査では、電波探査フローや発見後の対応を依頼者に説明することが重要です。また、人探し(行方調査)では、依頼者から得る情報では不足することが多いため追加で取得した情報を組み合わせて調査計画を練り実行に移します。そのため情報の入手先(公募、名簿屋、行政書士など)から情報を引き出す手段を知っておくことが必要となります。

調査のやり方は、依頼案件ごとに違ってきます。調査環境も全く同じではない為その都度、過去の経験に基づきながら新しい調査プランを考える力量が求められます。また、SNSなどで誹謗中傷を受けた場合に相手をある程度特定するネットワーク技術も必要な場合が出てきています。つまり、社会生活の進歩に合わせて個人の経験値や専門知識を進化させていく必要があると思います。

(2)調査機材の進展

調査機材に関しては、監視や証拠撮影用の機材が年々進歩しています。カメラの小型軽量化、ハイビジョン化やネットワークによるデータ転送・共有など10年前とは全く違ってきています。GPSによる位置情報の高精度化で探索精度は格段に向上しています。また、スマホカメラの高解像度化でデジカメに匹敵してきたり通話アプリが連絡手段として使用可能になっています。調査は秘匿性をもって実施しなくてはなりません。誰にも気づかれずに監視し撮影できる機材も必要ですが、いつ、どこにどの様に設置すれば成功率が上がるのか判断できる感性が一層必要になってきます。

(3)カメラ技術

CMOSセンサーの進化により超小型カメラ、高感度カメラ(暗闇でも撮影できる)、50倍以上の超望遠カメラや日付写し込み可能なビデオカメラの出現、偽装カメラ(ライター型、車両キー、眼鏡、ペン型など)の高解像度化も相まって証拠写真の鮮明化に寄与しています。また、カメラにWi-Fiネットワーク機能が付加され映像・写真をスマホやパソコンへ簡単に転送可能になっています。しかしながら、誰にも気づかれずに撮影する為にどのタイミングでどのように動作させれば失敗しないかを理解していないと調査は成功しません。また、調査対象や環境に応じてやり方を調整していく力量が求められます。

(4)調査体制について

大手探偵社では、尾行・張り込みはチーム体制で行います。車両、バイク班と統合的に判断し指令をだす班で構成して行っているようです。大体4名構成で情報共有はスマホのLINEで行います。もちろんGPS情報は中央指令が把握し各調査員に発信します。車両もバン、ステーションワゴン、単車、軽ワゴンなど豊富に保有し改造するための整備工場も持っています。これで調査の成功率は格段に上がりますが、調査料金が高くなることがよく理解できます。

個人経営では、業務委託の調査形態で2人体制で調査するケースが多いです。1人で可能な調査もありますが、尾行・張込みや写真撮影となると成功率が下がりますので2人で行いながら最新の機材や利用ノウハウで不足分を補間して調査しています。リーズナブルな料金と地域密着を売りに営業している探偵社は多いです。但し、大手並みの高度な調査スキルや豊富な機材をもつ探偵社もあります。探偵の価値は、誰にも気づかれずに調査できることにあります。チーム、単独のいずれであってもご依頼者が求める証拠なり情報を取得することに変わりはありません。強引な尾行や張り込みや証拠を残すようなやり方はご法度です。

(5)証拠映像加工技術

最近では4K、8K映像が再生可能な液晶テレビが市販されています。まだ高額ですが、8K映像が撮影可能なビデオカメラが出てきています。では、探偵業で必要かといわれるとオーバースペックのようにも思われます。裁判証拠として法廷で再生できるのか?と言われると現状は無理のようです。フルハイビジョンで証拠撮影した場合、DVDや写真に落とし込む技術が必要になってきます。画像のファイル形式を現有機器に対応させるためのファイル変換や出力サイズごとに印刷する方法など映像加工技術を知っておく必要があります。裁判証拠として使用可能なDVDや解像度の良い写真に落とし込むノウハウは、探偵社として最低限持っておくべきものです。

(6)探偵に必要な能力とは?

探偵が持っておくべき技術には、基本的なものとして(車・徒歩による)尾行・張込み技術、機材利用技術が挙げられます。これらは、経験を積めばそれなりに上手くなっていくものです。しかし、探偵は「誰にも知られずに密かに証拠を取得し後に痕跡を残さない」ことに価値があります。言うのは簡単ですが、「のほほんと言われるがままに調査をこなしていて」も上達しません。

向上心をもって世の中の技術進歩を積極的に応用する能力が極めて重要です。更に、コミュニケーションやコンプライアンス(法令順守)能力も求められます。単に金儲けしたいとか興味本位で行っている素人探偵では、対象者に発覚したりプライバシー侵害やストーカー行為で検挙されるリスクが高くなります。また、調査のやり方がずさんで証拠をとる前に発覚したり撮影チャンスがなく結局証拠が取れない状況に陥るのが関の山です。探偵に求められる資質は、用意周到で大胆かつ慎重に行動できること、周りの状況がよく見え状況判断が適格で素早く行動できることです。たとえ窮地に陥ってもその場を安全に脱出できる機転も持ち合わせていることが大事です。

(7)まとめ

探偵社の調査技術は、経験値やノウハウの豊富さに関しては実績件数が多い大手の探偵社ほど優位にあります。売り上げが多くなると調査機材への投資や人件費に余裕ができ更に技術レベルが向上し調査体制も強化できます。一方、個人経営の探偵社では、設備投資や広告費に限界があります。また、調査依頼は口コミや実績によって左右されがちです。しかし、規模は小さいながらもリーズナブルな料金で誠実な対応をモットーに実績を積上げていくことが受注に繋がる一番の方法と考えています。

探偵の価値は、秘匿性と確実な情報収集にあります。いくらノウハウがあっても実行出来なければ成功につながりません。探偵社の調査技術は、経験値に基づくノウハウとそれを実現する個人の能力に依存しています。従って、大手、個人経営のいずれであっても調査機材を最新化するだけでなく探偵個人の能力を磨き上げる鍛錬も必要です。

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