ストーカー対策について

ストーカー対策について

(1)ストーカー被害の現状

ストーカー行為とは、恋愛感情に基づいて「つきまとい行為」を繰り返し行った場合に「ストーカー行為」となり規制の対象となります。恋愛感情に基づかない「つきまとい行為」は、軽犯罪法違反として取り扱われます。(注1)

「ストーカー規正法」(正式な呼称:ストーカー行為等の規制等に関する法律)は、1999年10月に発生した「桶川駅西口女子大生路上殺人事件」所謂桶川ストーカー事件において「つきまとい行為」「誹謗中傷ビラの配布」などの嫌がらせ行為の末、被害者がストーカー犯の雇った実行犯に刺殺され、ストーカー犯も自殺するという悲惨な事件を受けて2000年11月に施行されました。この事件で、警察官の対応のまずさも問題となりました。

ストーカー規正法でのつきまとい等行為は8項行為で定義されています。2014年に警察庁が認知したストーカー事案は、22,823件となっており、2010年まで年間15,000件弱であったものが急増傾向にあります。2011年「長崎西海ストーカー事件」や2012年「逗子ストーカー殺人事件」がきっかけになったと言われています。

平成26年度内閣府の男女間暴力に関する調査では、DV被害20.3%、デート暴力15%に対してストーキング被害は7.3%で増加傾向にあります。被害者も30代女性が19.6%と最も多い傾向が報告されています。ストーカー事案の内訳で、1万件を超えているのは「つきまとい、待ち伏せ行為」が最も多く、「面会や交際を要求する」が続いています。

①つきまとう、待ち伏せする、住居や学校に押しかける。1号 11,379件
②面会や交際、復縁(被害者にとって義務のないことを要求)3号 10,987件
③無言電話、連続電話、連続メール送信。5号 7,767件(2013年の改正で伸びが顕著)
④乱暴な言動
⑤監視していると告げる行為
⑥性的羞恥心を害する行為 
⑦名誉を害する行為
⑧汚物等の送付の順に減少していきます。(参考文献あり)

2014年の検挙事案は、22,823件中2,473件あり、その内、殺人が14件、暴行障害が213件で生命・身体に直接危害が及ぶ事案は極めて少ない結果となっています。ストーカー規制法違反は全体の25%の598件に留まっておりその他は、脅迫、住居侵入や器物損壊、迷惑防止条例違反など多種多様の事案で検挙されています。DV被害の80%以上は暴行障害であるのに対しストーカー行為は多様な検挙事案があることが特徴と言えます。(参考文献あり)。

注1)ストーカー規制法の対象となる目的以外の目的
 ・ねたみ、恨み、悪意の感情または性的好奇心を充足させる目的
 ・不当に金品その他財産上の利益を得る目的
など正当な理由がないのに特定の者に対して「つきまとい行為」を繰り返す行為は、迷惑防止条例等で取り締まられるようです。

探偵社が行う尾行、張込み行為は、度を越すと「つきまとい行為」で通報される恐れがあるので秘匿性に留意して気づかれないように対応する必要がありますね・・・・。

被害者と行為者との関係性では、交際相手・元交際相手が51%で最も多く、次いで知人・友人が11.4%、勤務先・職場が10.4%が続きます。配偶者・元配偶者は以外に8.9%と4番目になっています。面識なし・不明はそれぞれ5%程度で「誰かに狙われている」といイメージとはかけ離れています。つまり、8割は行為者が判明しているという統計となっています。動機の統計では、親密関係の破綻「別れ話」が60%、親密関係に至る前「片思い」が30%となっています。また、行為の直接的動機は「好意の感情」:「怨恨の感情」=3:1の割合との報告があります。(参考文献あり)

(2)改正された理由

「ストーカー規正法」は、2000年11月施行以降、二度の法律改正がありました。
2012年11月に発生した「逗子ストーカ殺人事件」において元交際相手にEメールによる嫌がらせメールを1000通以上送信され警察に相談するが、当時の「つきまとい行為」にEメールの連続した送信が対象ではなかったため動けず結果として刺殺されるという痛ましい事件でした。その反省から、2013年7月に連続したEメール送信も「つきまとい行為」に追加改正されています。この事件では、被害女性の住所の特定に探偵社が関っており起訴された事件でもありました。

2016年5月に発生した「小金井ストーカー殺人未遂事件」がきっかけで「インスタントメッセージやSNS、ブログなどへの連続した書き込み」が2016年12月に「つきまとい行為」として追加改正されています。この事件は、被害女性は芸能活動をしており、ファンである加害男性にTwitter上でメッセージを送り続けていましたが、「SNSへの連続した書き込み」は規制の対象外のため警察は加害男性を逮捕できなかったことに対応するものです。

(3)ストーカー行為の罰則

2016年の改正で非親告罪となり、被害者からの告訴が無くても逮捕できるようになっています。罰則は、1年以下の懲役または100万円以下の罰金となっています。警告よりも重い「禁止命令」を破ってストーカー行為を続けた場合、2年以下の懲役または200万円以下の罰金となります。また、ストーカー行為に関係する写真データを破棄する命令が出ているのにデータを破棄しなかった場合は、6ヶ月以下の懲役または50万円以下の罰金となります。

(4)探偵は何が出来るのか?

ストーカー被害者は、行為者の身元が判明している場合は、まず最寄の警察署に相談に行かれると思われます。所管の警察としては、出会いからトラブルに至った経緯や相談内容を聴取しストーカー規制法に抵触するかどうかの判断、事案の危険性を評価します。被害者に対する措置として「防犯指導」、「パトロール」、「援助」が行われるようです。行為者に対しては、「指導警告」(警察に呼び出して法令に抵触する旨伝えて自制を求める)を行いそれでも迷惑行為がやまない場合の措置として「警告」「禁止命令」などが取られるようです。

被害者の感情として、ストーキングが収束し平穏に暮らせることを希望し処罰感情は顕著でない場合、指導警告だけで収束する事案も30%以上あるようです。しかし、人命に関る事案も極めて少ない割合ですが存在します。迷惑度の高いストーキングを行う、深刻でなくても重大事件にエスカレートするケース、DVやデート暴力からストーキングに転じる場合など報復を恐れて申告しないこともあり「危険性」の評価が極めて難しいことが現実にあるようです。被害者の心理として、警察に知っておいて欲しい、相談するがしばらく様子を見たいということもあり警察としての「対応の選択」は難しいものがあるようです。

では、探偵は何が出来るのか?

ストーカー被害を受け警察署に相談する前に、相手は誰か?嫌がらせの証拠は押さえているか?など調べておく必要があります。探偵社は、以下の調査が可能です。

①行為者が不明のケースでその人物の割り出し(住所、氏名など)
②行為者の素行調査
③いらがらせ行為の証拠映像の収集
④所管の警察署への相談の支援(同行)
⑤沈静化工作(実施は状況に依存します)

注)防犯に関するアドバイスや監視カメラの設置支援まではできますが、行為者がエスカレートして暴力的になっている場合に被害者を「警備すること」は出来ません。警備のための訓練や警察への届出もしておりませんので・・・・。

(5)警察と探偵の線引きはどこ?

ストーキングを沈静化させる工作は、行為者の性向が全く分かっていないことから状況によって対応は変わってきます。恋愛感情の行き違い、一方的恋愛感情の謝絶などから「つきまとい行為」や「関係修復の強要」などの嫌がらせ行為をしている段階であれば、3者で話し合いをして「行為者の誤解」を解くということも可能になりますが、不調の場合は、警察マターということになります。

恋愛感情から「逆恨み」の感情に変化している場合、行為者が「切れやすい性格」であれば警察に任せるのが最良の方法となりますす。嫌がらせ行為の証拠収集、行為者の割り出しができれば、警察署への相談が可能になります。しかし、警察も諸般の事情ですぐには動けるとは限りません。相談内容から深刻さや緊急性を判断して受理という流れになりますが、検挙まで時間がかかる可能性があります。警察署の対応として「検挙」でなく「指導警告」をすることが出来ます。これで、収束するケースが30%以上あるとの事なのでこのあたりが境界線と考えています。

(6)探偵がやってはいけないこと

行方調査で、DV被害やデート暴力から逃れている被害者の所在地の調査依頼が入る場合があります。ストーカー被害に関しても同様に、行為者から被害者の住所や連絡先の調査依頼が入る場合があります。探偵社が調査依頼を受ける場合は、事務所にて面談し対象者との関係、調査の動機・目的など確認し少しでも怪しい言動が見受けられればお断りしています。特に、電話で相談を受けた際は、相談者の言動が明らかに暴力的であることが分ります。所在地調査は、調査目的に不純なものを感じる場合は、お断りしています。受けてしまった場合でも犯罪の匂いを感じた際は、速やかに調査を中止することが「探偵業法」に規定されています。

(7)警察にご相談時に必要な情報

①トラブルに至った経緯や被害状況
 ・つきまとい行為の始まった時期、被害内容
 ・緊迫性(危険度)
②具体的なご相談内容(希望の措置)
 ・警告(検挙)
 ・指導警告
 ・警察に知ってもらう等
③被害地域(自宅近隣、実家、勤務先、通勤ルートほか)
④加害者の情報
 ・関係性:第三者、元交際相手、元配偶者、知人・友人、職場など
 ・住所
 ・性別
 ・身体的特徴(体格、眼鏡、容貌、髪型など)
 ・その他判明している事

PAGE TOP