行方調査の現状

行方調査の現状

(1)行方調査の種類

行方調査は、何らかの理由で失踪した方の所在を確認するケースと長年、音信不通だった昔の恩師や友人、お世話になった方の所在地を確認するケースに分けられます。前者は、家族の家出などの「一般行方不明者」と何らかの事件に巻き込まれている可能性や自殺の恐れがある「特異行方不明者」となります。後者は情報量が多く捜索エリアが絞られる為、発見率は高くなります。前者は情報量が少なく且つ捜索エリアが広範囲になるため、発見は極めて困難な場合が出てきます。

前者の失踪人の場合、警察へ「捜索願」を提出しますが、受理後すぐ対応してもらえるのは「特異行方不明者」の場合で「一般行方不明者」の場合は、受理されても他の事件への対応もありすぐには対応してもらえません。但し、警察庁データベースに登録され全国の警察署にて情報共有されますので、職務質問などで接触の機会があれば情報がご家族に入ります。

「捜索願」を届け出ることが出来る人は、親権者、配偶者、同居人、恋人、行方不明者の雇用人や親密な関係のある方となります。届出先の警察署は、保護者の住居地を管轄する警察署、行方不明者の失踪時の住所地を所管する警察署のほか失踪した場所の管轄警察署となります。

 注)「捜索願」の正式名称は「家出人捜索願」ですが、2010年施行の法律により
   「行方不明者届」と名称変更されています。

(2)情報量が決め手

行方調査では、まずご依頼者からの情報を分析し捜索エリアを割り出す事からスタートします。失踪直前に残したメモやメールのほか当人がよく行く場所や交友関係、親族や学校の友人が暮す場所、土地勘のある場所などから捜索場所を絞り込みます。以下の情報は面談時に聴取する内容となります。可能な限りご提供頂くことが重要です。

・失踪時の日時と場所
・失踪時の服装や所持品
・当人の写真
・身体的特徴(ほくろ、傷跡など)
・目撃証言(同行者の有無、時間や服装)
・失踪の原因
・失踪時の所持金、キャッシュカードの有無
・通帳や電車ICカードの利用履歴
・パソコン、携帯の閲覧履歴
・ブログやSNS(Twitter、Face Book)の内容
・部屋に残された本や雑誌を読んだ形跡など

(3)経過時間と発見率

警察庁データによれば失踪後、1週間以内であれば約70%は発見され、1ヶ月経過であれば約10%に、1年以上経過すれば8%以下となっています。経過時間が短ければ短いほど発見率も高くなります。未成年の「家出」のケースであれば「家に帰る意思」は残されていますので所持金がなくなれば戻ってくることが多いようです。

(4)エリアの絞込みが出来なければ難しい

行方調査で難航するのは、調査対象エリアの絞込みです。ご依頼者からの情報が曖昧であまりにも少ない場合は調査をお断りする場合があります。探偵は、手掛りがあってこそ動けるのですが調査エリアが曖昧であれば動きようがありません。

(5)調査方法

昔、お世話になった人や恩師の所在地調査は、手掛りが多く当人が逃げているわけでは無い為データ調査や職場への聞き込みなどで概ね判明することが多いです。データ調査は他の専門機関に依頼する場合があり費用が多少かかります。失踪人の場合は、借金などで逃げていたり「自分の意思」で家出していますので当人から出てくることは考えられませんので基本的にはチラシの配布と調査エリア内での聞き込みや張込みとなります。「ドローン」や「警察犬」を利用して捜索する探偵社もあると聞いています。最近では、ご家族でも捜索できるよう認知症患者にGPS機能付き携帯端末を所持させて居所を確認する方もおられます。

(6)移動ルートの割り出し

ご依頼者の関係者からどこそこで見かけたとかの情報があればば移動ルートの推定が出来る可能性があります。そのルートに沿って聞き込みを行ない当人の目撃情報を収集します。有力情報があれば、調査員を増強でき発見率を上げることが出来ます。

キャッシュカードやクレジットカードの利用履歴や電車のICカード(ICOCA、SUICA)の履歴から使用した場所が判明することがあり移動ルートの推定ができる場合があります。

(7)チラシ配布

行方調査では、探偵が単独で動くことは滅多にありません。複数の調査員が人海戦術で捜索対象エリアを聞き込みに回ります。そこで必要になるのがチラシになります。調査員が捜索対象者の情報を把握することの他、聞き込み先での情報収集に当たって相手方の記憶を引き出すための情報ともなります。立寄りそうな場所や宿泊しそうな場所にチラシを配布していきます。一人で、150箇所程度を目安に配布します。

チラシに掲載する情報
・本人の顔写真
・名前(ふり仮名いり)
・年齢、性別
・失踪時期
・身体的特徴
・失踪時の服装や所持品
・ご家族の連絡先
・届け出た警察署の電話番号
・家族からのお願い
・お礼について

これらの情報を1枚にまとめます。タイトルは、赤色や黄色で目立つフォントにし、身体的特徴は赤字または太字とします。連絡先は、太字や斜体で強調します。

調査が終了したら聞き込み箇所に発見の報告とお礼を出し、チラシを回収します。

(8)自宅訪問と手掛り

当人の自宅を訪問し「パソコン」の履歴やメモ書き、直前まで見ていたであろう雑誌の形跡などから立寄り先の手掛りを探る探偵社もあります。

(9)料金は結構高い

調査料金は、複数の調査員を投入しますので結構、人件費が掛かります。また、捜索エリアが広くなればなるほど交通費や宿泊費等の経費がかさむ事になります。料金体系は時間型、パック型および着手金+成功報酬にわかれます。短期では時間型が有利です。長期では上限が決まっているパック型が有利と思いますがどこまでやるかを決めておく必要があります。成功報酬型は、「当人の所在が確認」出来ないリスクを探偵社が持つことになります。成功の定義を契約書に明文化しトラブルを未然防止することが重要になります。経過時間や情報量を勘案してご依頼者と協議し成功報酬を決定するケースが多いです。

1件当たり50~80万円程度と考えておられる方が多いようですが、発見できない場合は結構、高負担となります。3人5~6回稼動で65万円程度が相場ではないかと思います。4人8~9回稼動では合計で100万円を超えてしまいます。いずれの料金体系であっても時間と人数が基本ですので調査期間と投入する人数が同じであれば大差ないと思います。但し、4人2回稼動で125万円の法外な金額で契約したケースも報告されています。契約は、慎重にすることが重要です。(消費生活センター情報より)

(10)行方調査でやってはいけないこと

所持品を残したまま突然、姿を消した恋人やパートナーの所在調査を依頼される場合があります。ご依頼人の言動からストーカー行為やDV被害が推測できる場合は、依頼を断わる場合があります。探偵は、犯罪に加担する調査は一切お断りしています。ストーカー被害やDV被害で家出し自分の居場所を知られたくない方は、「捜索願不受理届」を出されます。受理されれば、たとえ「捜索願」が出されても警察は届出人の意思を汲んで捜索しません。間違って情報を出しニュースになった例もありますが・・・・。

また、行方不明者を発見した際、探偵は「声がけ」ができません。ご依頼者が到着するまで当人を追尾します。「拘束」することも法律上できません。

(11)清算について

調査が終了した時点で報告書を作成・提出し残金を清算します。成果が出ていない場合でも聞き込み場所や得られた情報を克明に記載した報告書をもって清算します。成功の条件に「当人の発見」に至らない場合でも得られた情報を成果とすることが契約書に記載されている場合は、契約金額を支払うことになります。発見に至らない場合の残金の取り扱いを契約時に取り決めておくことが肝要です。

(12)調査力のレベルアップが必要

「何らかの理由で姿を消している方の所在」の調査は、極めて困難な状況となる場合が多々あり、結果として発見に至らないこともあります。ご依頼者にとって「どうしても探し出したい」理由が必ずあります。発見に至らない時のご心痛は、言葉に表せないくらい厳しいものがあります。探偵は、このことを肝に銘じて調査にあたらねばなりません。事前の分析を入念に行ったとしても時間の制約上、必ずしも結果が伴わないことがあることも事実です。

行方調査は、調査の総合力が問われます。探偵社は、情報網、マンパワーや情報分析能力を更にレベルアップさせる必要に迫られています。大手の探偵社は、その点では優位にありますが、小規模探偵社であっても協力しあうことで大手に匹敵させることが出来ます。

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